4人が本棚に入れています
本棚に追加
「大体胡散臭いのよね、誰にでもいい顔する感じが。八方美人にも程があるわよ、アレ」
「僻み僻み」
「いい?ほんとに完璧な女ってのは、僻まれる要素もないもんなの」
「そんな無茶な」
「本当よ。僻んでる自分が恥ずかしくなるくらいの女なら、わたしは文句言わないもん」
「……まぁ、確かにね」
全て飛鳥様の言う通り。
こういう竹を割ったような性格も、飛鳥のいいところの一つだ。
それに飛鳥は、佐野さんに負けず劣らず“有名”で。
可愛い系代表が佐野さんなら、美人系代表はぶっちぎりで飛鳥。
これは決して友人の贔屓目ではなく、実際にそうなのだからしょうがない。
ただ告白されるのが少ないのはきっと、その男前すぎる性格と高嶺の花オーラによるものだろう。
佐野さんの方が、断然男としては近寄りやすい。
「それに、タケの時もあの女、だんまり決め込んでたし」
「あれね、あれは流石に酷かった」
高二の初め、うちのクラスの“タケ”こと佐竹悠という大人しい男子が軽くいじめられていたことがあった。
佐竹の隣の席なのにも関わらず、約三週間もの間見て見ぬふりをし続けた佐野さん。
わたしはあの頃から、あの女を信用しなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!