第1話 失恋と決意

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自分でも、情けないと思う。 涙どころか鼻水まで垂らして号泣なんて、可愛い涙じゃない。 どこの小学生のガキだよってレベルで、汚い。 だけど、辛かった。 先輩のことを考えたくないのに、教室にいれば嫌でも聞こえてくる佐野さんの声に、考えずにはいられない。 佐野さんの明るい笑い声が聞こえる度に、そんなに話したこともないくせに、お願いだから笑わないで、なんて思ってしまう。 そんなこと考えてる自分がサイテーだって思う一方で、しょうがないじゃんとも思う。 でも佐野さんは、クラスの中心で、明るくて成績優秀で、わたしなんかより友達も沢山いて。 何より学年一の美少女なんて言われてて。 何という、醜い嫉妬。 でも嫉妬する以外出来ないで泣いている自分が、どうしようもなく情けない。 好きの気持ちは負けないのに、まるでその想いまで負けてるみたいで、情けない。 先輩のことを好きだって思っちゃダメなんだって、自分の想いにまで蓋をされたみたいで、惨めすぎる。
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