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~出会い~
それは始まりだった
彼との出会いが私の人生を変えた、と言っても過言ではないだろう
「転校生を紹介する」
何気ない朝のHRの時間
何気ない毎日の始まり
変わりない窓からの風景
何も変わらないはずだった
そう
変わらないはずだったんだ
私の名前は「真倉 明希(あき)」
とにかく本を読む事だけが好きだった
あとは……そう
人間観察
だから、窓際のこの席は特等席とも言える
正直、この時期の転校生なんて大した奴じゃない
7月のはじめ
もうすぐ夏休みに入るんじゃないかって時期に引っ越すのは大抵が親……いや。
家庭の事情、と言える
だから、深く聞く気もなかったし
知る気もなかったんだ
「転校生、自己紹介!」
先生が自己紹介を促す
名前すら覚えられていないのか
その時はそんな事すら思っていた
先生にすら名前を覚えてもらえない奴なんて、きっとまたすぐ転校してしまうんだ
自然の摂理
人は記憶しなくていい事はすぐに覚えても忘れてしまう
だけど、それは私の思い過ごしだったことに後から気付く事になってしまう
「牧 裕司(まきゆうじ)です。よろしくお願いします」
「よし。じゃ、牧は真倉の隣な」
唐突に言われ、私は少し構えてしまった
先生が指差すまま、牧くんは私の隣の席に向かい歩いてくる
目が合うと、幼い子供のような目を細めてくしゃっと笑って見せた
「真倉さん?」
「そうだけど?」
「よろしくお願いします」
転校生は丁寧に頭を下げて見せた
【変わった子】
それが私の第一印象だった
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