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転校生は無口だった
結局、その日話したのは
「よろしく」
の一言だけ
移動教室は最後に立ち、みんなの後ろを歩くのかと思うと、一番に立ち上がり、場所も聞かずにさっさと歩き出す
それなのに、教室に着くのは一番最後なのである
転校初日なのだから、素直にみんなに道案内してもらえばいいのに
よほどの変わり者なのだろうか?
それとも、頭が悪いだけなのだろうか?
いや、もしかしたら友達が作れなくて転校を繰り返しているのか
気付けば2日……3日と過ぎ、私は転校生の事ばかり目で追ってしまっていた
我ながらバカげている
そう
バカげている
そう思わせたのは彼のこんな一言からだった
「真倉さん?何か僕に付いていますか?」
「え?……いや、何も……。」
彼は気付いていた
知らないふりをして私の視線に気付いていたんだ
一番身近にいるからそう思うかもしれない
……が、転校してきてから、何人もの生徒が話しかけるが、彼は愛想笑いを浮かべるだけであって、誰かと話す姿は見られなかった
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