第1章

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転校生は無口だった 結局、その日話したのは 「よろしく」 の一言だけ 移動教室は最後に立ち、みんなの後ろを歩くのかと思うと、一番に立ち上がり、場所も聞かずにさっさと歩き出す それなのに、教室に着くのは一番最後なのである 転校初日なのだから、素直にみんなに道案内してもらえばいいのに よほどの変わり者なのだろうか? それとも、頭が悪いだけなのだろうか? いや、もしかしたら友達が作れなくて転校を繰り返しているのか 気付けば2日……3日と過ぎ、私は転校生の事ばかり目で追ってしまっていた 我ながらバカげている そう バカげている そう思わせたのは彼のこんな一言からだった 「真倉さん?何か僕に付いていますか?」 「え?……いや、何も……。」 彼は気付いていた 知らないふりをして私の視線に気付いていたんだ 一番身近にいるからそう思うかもしれない ……が、転校してきてから、何人もの生徒が話しかけるが、彼は愛想笑いを浮かべるだけであって、誰かと話す姿は見られなかった
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