第1章

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あたしの言葉に瑛二くんは少しだけ間をあけて、 「わかったよ。」 って言った。 「やったぁ!」 ただ純粋に嬉しかったあたしは、会える可能性が低いにも関わらず喜んだ。 カッコイイから? 核心をつくことを言うから? 優しいから? よくわからないけど、瑛二くんとまた会いたい。 そう思った。 瑛二くんがバーから出て行き、残ったあたしとマスター。 「……彼氏と喧嘩でもした?」 マスターの優しい声。 その声に、心を撫でられた気がした。 「…ふふっ。 奥さんが熱を出したからあたしと会えなくなるなんて当たり前なのに、あたしが面白くない気持ちになる資格なんてないのに…バカだよねぇ……?」 目に涙がじんわり浮かんだ。 「…まぁ、よくある話だね。」 マスターは優しい声をかけるわりにはグラスを磨く手を止めなかった。 …わかってる。 マスターは、こーゆー恋は応援しない派だってこと。 「瑛二くんみたいにお説教しないんだ?」 あたしの言葉に、マスターはきょとんとした。 「ん~…そーゆーのは店のマスターとしては失格なんだよ…多分。」 そう言いながら苦笑するマスター。 「誰の味方も出来ないんだ?」 「まぁ…商売人だから。 でも、人間だよ。」 ニッと笑うマスターが、格好良かった。
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