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腕時計を見ると、午後10時。
昨日は何時くらいにここに来たっけ…。
瑛二くんに会いたい。
あの冴えない顔をした彼に、その理由を聞いたり、話をしたい。
っていうか……今は誰でもいいから側にいてほしい。
「やっぱり瑛二待ってる?」
ニヤニヤするマスターに、
「……誰でもいいのかも。」
なんて、はしたない発言をする28歳。
我ながら最低。
「綾ちゃん、自分を大事にしないと。」
「ふふ。冗談。」
誰でもいいんじゃなくて、咲哉の代わりが欲しいだけ。
いや、本当は咲哉が欲しいだけ。
でもそれが出来ないから、もどかしい。
奥さんと別れてとか、言えない。
「ま、昨日の瑛二の一言が効いてるんだろうけど、そんな顔しないで!
今までの綾ちゃんなら強気でいられたハズでしょ?
あ、それともあのイイ男に言われるとさすがに参ったー?」
からかうマスター。
いや、それ…冗談になってない。
「まぁね~。あたしもたまには傷付くよ?」
って、返事をしてみる。
「あはは!」
楽しそうに笑うマスター。
マスターのこういうところ、尊敬する。
あたしが本気で言ってないのもわかってる。
「でもさ、さっき来たよ?彼氏。」
………え。
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