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咲哉が、ここに……。
ドクン……
あたしメールの返信、してない。
「……一人だった?」
マスターにそう聞くのが精一杯だった。
「ん?うん。綾ちゃんが来たら連絡してほしいって伝えてくれって。」
「そう……。」
カクテルを一口飲み、ザワザワしている心を落ち着かせる。
「彼氏がいるのに、他の男に目がいく綾ちゃんなんて、らしくないよ?
素直になったら?」
伺うようにあたしを見るマスター。
わかってる。
ただ拗ねてるだけだって。
「そう簡単にはいかないよ……。」
あたしにも、ちっぽけながらプライドあるもん。
カクテルを飲み干し、マスターのお店からタクシーでワンメーターほどしか離れてない家に帰った。
マンションの一階はコンビニ。
その横にオートロックの入り口。
いつものようにコンビニでミネラルウォーターを購入し、コンビニを出た。
………ら。
「…………!」
マンションの入り口に立つ咲哉と目が合った。
胸が一気に高鳴る。
「な、なんで…奥さんは?」
ああ、ホントかわいくない自分。
「もう治った。
っていうか、なんで連絡くれないの?」
咲哉の寂そうな顔。
…何よ、奥さんに何かあればすぐ奥さんのところに行くくせに。
「…忙しかったから。」
高鳴る胸を押さえて、あたしは冷たく言い放つも、もう手遅れ。
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