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「…俺が綾の気持ち、わからないと思う?」
咲哉はそう言って、あたしの肩を寄せた。
「自意識過剰。」
「あはは!」
笑う咲哉を尻目に、あたしはオートロックを解除した。
ああ、やっぱりダメなんだ。
どんなに意地張っても、好きという気持ちを閉じ込めることは出来ない。
リビングに入るなり、咲哉はあたしを背後から抱き締めた。
「な、なに…」
「酷いな綾。
綾が返信してくれないから、俺は今日何も手につかない勢いだったよ?」
タバコと車の芳香剤が混ざった匂いがする咲哉の腕の中。
こうなると、意地を張っていた自分がすぐどこかに行ってしまいそうになる。
「そうなんだ?」
こんな言葉しか出ない。
「うん、慰めてね?」
「帰るんでしょ?」
「後2時間後には。」
…ズキ……。
咲哉の唇が、あたしの唇に重なる。
受け入れられない…わけない。
「好きだよ、綾。」
耳元でそう囁き、あたしの服の中に手を入れる咲哉。
あなたにとってあたしは遊びでも、あたしにとってあなたは本気。
浴室に移動し、流れるシャワーの中で咲哉はあたしに触れた。
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