第1章

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「…俺が綾の気持ち、わからないと思う?」 咲哉はそう言って、あたしの肩を寄せた。 「自意識過剰。」 「あはは!」 笑う咲哉を尻目に、あたしはオートロックを解除した。 ああ、やっぱりダメなんだ。 どんなに意地張っても、好きという気持ちを閉じ込めることは出来ない。 リビングに入るなり、咲哉はあたしを背後から抱き締めた。 「な、なに…」 「酷いな綾。 綾が返信してくれないから、俺は今日何も手につかない勢いだったよ?」 タバコと車の芳香剤が混ざった匂いがする咲哉の腕の中。 こうなると、意地を張っていた自分がすぐどこかに行ってしまいそうになる。 「そうなんだ?」 こんな言葉しか出ない。 「うん、慰めてね?」 「帰るんでしょ?」 「後2時間後には。」 …ズキ……。 咲哉の唇が、あたしの唇に重なる。 受け入れられない…わけない。 「好きだよ、綾。」 耳元でそう囁き、あたしの服の中に手を入れる咲哉。 あなたにとってあたしは遊びでも、あたしにとってあなたは本気。 浴室に移動し、流れるシャワーの中で咲哉はあたしに触れた。
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