第1章

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咲哉が部屋から出た後、大きなため息が出た。 無駄なんだ、この気持ちを止めることなんて。 もう、振られるまで待つしかない。 考えても仕方ない。 その日の夜は、久しぶりにぐっすり眠れた。 それからマスターのお店に週2回くらい通ったけど、瑛二くんに会えなかった。 あたしも単純だ。 やっぱりカッコイイ男は目の保養になるし。 んー…でもなんだろう。 この前の核心をついた言葉をまたかけてほしいと言うか。 そんなある日。 ついに、瑛二くんに会えた。 あたしの顔を見た途端に嫌そうな顔をする瑛二くんにあたしは笑った。 「何その顔! 約束忘れてないよね?」 得意気な顔でそう言うと、帰る予定だったっぽい瑛二くんはカウンターの椅子に座り直した。 「あたしマルガリータ、彼にジンライムね♪」 さっさと注文するあたしに、 「今日はご機嫌だねー綾ちゃん。」 って、理由はわかっているマスターの質問。 「だって瑛二くんに会えたんだもん?」 「イイ男は大変だな瑛二。」 マスターが瑛二くんに笑った。 「…まー話くらいしてもいいけど。」 瑛二くんは仕方ないと言わんばかりだけど、会えたことに満足しているあたしはそんなこと何も気にならなかった。
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