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それに気のせいか、前回みたいに軽蔑の眼差しをあたしに向けてはいない。
黒い七分袖の薄手の羽織りに、白いインナー。
細身のジーンズがよく似合ってる。
シンプルなのにカッコイイ。
まじまじと瑛二くんを見ていると、マスターがコースターにカクテルを置いた。
「…乾杯。」
あたしはコースターに置かれたままのジンライムに乾杯した。
今日の一口は特に美味しい。
咲哉のこともそれなりに踏ん切りついてるし、隣には瑛二くん。
あーでも、彼女いるんだっけ。
「ここに彼女は連れて来ないの?」
そういえば前回も一人だった。
「何度も連れて来たことあるよ。」
瑛二くんはそう言うだけで、彼女の多くは語らなかった。
まぁ、それが普通だよね。
でもこんなモデルみたいな男の彼女なんて、キレイなコなんだろうな~。
ちょっと知りたい。
「………。」
あたしは彼女のことを聞こうと口を開いたけど、瑛二くんの曇った雰囲気に固まった。
うまくいってないのかな?
「ちょっと!せっかく会えたのに一人で感傷に浸ってお酒飲まないでくれる?」
半ば強引とも言えるあたしの言葉。
これは一応、何かあるなら相談乗るよっていうこと。
「………」
黙っている瑛二くん。
多分、あたしに話をしようか迷ってる。
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