第1章

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それに気のせいか、前回みたいに軽蔑の眼差しをあたしに向けてはいない。 黒い七分袖の薄手の羽織りに、白いインナー。 細身のジーンズがよく似合ってる。 シンプルなのにカッコイイ。 まじまじと瑛二くんを見ていると、マスターがコースターにカクテルを置いた。 「…乾杯。」 あたしはコースターに置かれたままのジンライムに乾杯した。 今日の一口は特に美味しい。 咲哉のこともそれなりに踏ん切りついてるし、隣には瑛二くん。 あーでも、彼女いるんだっけ。 「ここに彼女は連れて来ないの?」 そういえば前回も一人だった。 「何度も連れて来たことあるよ。」 瑛二くんはそう言うだけで、彼女の多くは語らなかった。 まぁ、それが普通だよね。 でもこんなモデルみたいな男の彼女なんて、キレイなコなんだろうな~。 ちょっと知りたい。 「………。」 あたしは彼女のことを聞こうと口を開いたけど、瑛二くんの曇った雰囲気に固まった。 うまくいってないのかな? 「ちょっと!せっかく会えたのに一人で感傷に浸ってお酒飲まないでくれる?」 半ば強引とも言えるあたしの言葉。 これは一応、何かあるなら相談乗るよっていうこと。 「………」 黙っている瑛二くん。 多分、あたしに話をしようか迷ってる。
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