第1章

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あ、ヤバイ。 なんか虚しくなってきた。 これ以上言葉が出てこない。 「…気持ちを伝えることができるだけ羨ましいよ。」 突如聞こえてきた瑛二くんの声。 気持ちを伝えることが出来るって…瑛二くんは彼女いるよね? あ、わかった。 「彼女がいるのに他に女がいるんだ? 悪いヤツだねー。」 からかい半分で言ったつもりだった。 それなのに。 瑛二くんの横顔は切なかった。 「はっきり言うなよ。 彼女の妹を好きになって、振られればいいけど気持ちを伝えることすらできないんだから。」 ………彼女の、妹…。 絶対に上手くいくはずのない恋。 「…それ、辛いね…。」 上手くいってもいかなくても、告白だけすれば白黒ハッキリついてスッキリもすれるけど、気持ちすら伝えられないなんて。 行き場のない気持ちをずっと抱えてるなんて。 気持ちを消化できないから、なんだかいつもしっとり…いや、感傷に浸ってカクテルを飲んでるんだ。 「どうするの?」 「彼女と別れないと忘れられそうにないね。」 「そう…。」 でも彼女と別れたら接点なくなりそうだけど。 「………」 「………」 っていうか、立場が似てる。 あたしも瑛二くんも、先の見えない恋。
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