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あ、ヤバイ。
なんか虚しくなってきた。
これ以上言葉が出てこない。
「…気持ちを伝えることができるだけ羨ましいよ。」
突如聞こえてきた瑛二くんの声。
気持ちを伝えることが出来るって…瑛二くんは彼女いるよね?
あ、わかった。
「彼女がいるのに他に女がいるんだ?
悪いヤツだねー。」
からかい半分で言ったつもりだった。
それなのに。
瑛二くんの横顔は切なかった。
「はっきり言うなよ。
彼女の妹を好きになって、振られればいいけど気持ちを伝えることすらできないんだから。」
………彼女の、妹…。
絶対に上手くいくはずのない恋。
「…それ、辛いね…。」
上手くいってもいかなくても、告白だけすれば白黒ハッキリついてスッキリもすれるけど、気持ちすら伝えられないなんて。
行き場のない気持ちをずっと抱えてるなんて。
気持ちを消化できないから、なんだかいつもしっとり…いや、感傷に浸ってカクテルを飲んでるんだ。
「どうするの?」
「彼女と別れないと忘れられそうにないね。」
「そう…。」
でも彼女と別れたら接点なくなりそうだけど。
「………」
「………」
っていうか、立場が似てる。
あたしも瑛二くんも、先の見えない恋。
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