13人が本棚に入れています
本棚に追加
江上綾。
28歳、OL。
彼氏あり。
「じゃあまたね。」
彼はそう言って、あたしの部屋のドアを閉めた。
一気に寂しくなる。
さっきまでの熱がこもった部屋と同じ部屋とは思えない。
だって、彼は奥さんと夜を過ごすから。
付き合って一年半。
彼は……高校時代の同級生。
二年前の同窓会で再開した時、代々伝わる医者の息子である彼は、お見合い結婚していた。
「岡田くん若いのにお見合い結婚なんかしちゃっていいの?」
同窓会の二次会。
たまたま咲哉の隣に座ったあたしの言葉に、咲哉は笑った。
「まぁ昔から言われてたことだし、病院継ぐのは俺しかいないし…それに大学の時、散々遊んだからいいんだよ。」
なんて言ったくせに。
二次会の帰り、人に見られないように咲哉はあたしの腰に手を回した。
「な…」
「江上さん、今から時間ある?」
腕時計を見ると、時間は22時を回っていた。
「時間はあるけど…」
腰に回った手が気になる。
「じゃあ三次会行こうよ。」
咲哉にそう言われて、高級ホテルのスカイラウンジに行った。
今思えば、美味しいカクテルが飲みたかっただけのためにホテルのラウンジに行くなんて、警戒心がなさすぎる。
最初のコメントを投稿しよう!