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姉さんの異変に気がついたのは、小学生入ったばかりの頃だった。
シクシク泣いていたかと思ったら急に私の体に腕を巻き付け、しばらくの間その体勢のままじっとしているのだ。
どうしたんですか?と尋ねると、「見えてしまうの」と弱々しく返ってきた。
「泣かないと目が見えなくなってしまうの、でも泣くと世界が気持ち悪いの」
ポツリ、ポツリと話すのを聞いていて始めは戸惑ったが、私はうっすらと理解した。
だが余計なことは言わずに、そのかわり大丈夫ですよと囁き続けた。
どのくらいホールドされていただろうか、姉さんが顔を上げ、ゆっくり目を開けて眩しそうに俯いた。
「姉さんは私が守ります」
姉さんは少し考えていたようだったが、おずおずと私を見て。
「それじゃあお願い」
と言った。
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