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そして、今
「・・・」
私よりも数秒早く生まれただけの姉さん。
泣き疲れて私の膝を枕に眠っている。
そっと頭を撫で、昔のことを思い出す。
私が見ていない所で泣きすぎて「視力が上がって」いる状態で辺りを見渡してしまったらしい姉さんは、大泣きしながら私の所に来て私に必死に抱き着いてきたのを今でも後悔している。
「必ず、必ずあんな思いは二度とさせませんから」
赤く腫れている目を覗きながら呟く。
「ん・・・」
小さな吐息と共に姉さんの瞼がゆっくり持ち上がる。
「おはよう」
「おはようございます」
「どれくらい寝てた?」
私は時計を確認しながら
「30分程ですね」
と答えた。
姉さんは起き上がって鏡を見て自分の目が赤くなっていることを確認して少し目を細めた。
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