第1章

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「児玉貴士です」  高校の生徒会室、1年の児玉貴士は一礼をした。 「風紀委員長の雪野和之、よろしくな」  真正面のパイプ椅子に座っていた一人の男子生徒が立ち上がり、そう言った。 「何事もまず風紀から。ということで雪野君、新人君を教えてやって欲しい」  自己紹介の後、生徒会長の言葉に雪野は嫌悪感をあらわにする。 「俺?」 「そうだ」 「なんでよ」 「雪野君がやる方が丸く収まる」 「意味がわからん」 「とにかくよろしく」 「というわけで俺が教えることになった」 「よろしくお願いします」 「よく見れば可愛いな」 「!!」  貴士は和之の言葉に驚きを隠せなかった。 「いやあの、風紀委員長・・・・・・?」  和之は貴士の言葉など耳に入らないようで、徐々に彼との距離を縮めていく。 「何かこう、なんて説明したいいんだ?」 「いや知りませんけど」  貴士の鼻先まで和之の顔が迫る。  貴士が顔を背けた瞬間、目の前に手が現れ壁に当たる。  ドン!!  鈍く響く音。  貴士は反射的に和之の方を見る。 「なっ、なんでしょう?」 「可愛いな」  目と目が合う。 「あの、教え・・・・・・」  その先は言えなかった。  なぜなら和之の口が貴士の口を塞いだからだ。
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