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「おい、『C助』。お前ふざけんなよ」
『F弘』はもっていた鉛筆を『C助』の右目に突き刺した。
切り裂くような悲鳴をあげて『C助』は椅子から転げ落ち、教室の床を血で攪拌した。
「おま、机もっと後ろへ寄せろって言ったよな、なんで寄せてないの」
『F弘』は狂気で瞳を濡らし、トドメをさすように『C助』に近づく。
『C助』は細い体をくねらせ回ったあげく、内向きにエビのように丸まっていた。
おい、と『F弘』が屈んで『C助』の髪を握ったときだった。
「アアアアアアアッー!」
それを振り払うように『C助』は突然起き上がると、右手に隠し持ったナイフで『F弘』を斬りつけた。
ナイフは鱗を一閃すると『F弘』の喉を二つに裂いた。
「ヴォババババ!!!」
『F弘』の迸る血と絶叫は天井まで届かず途中で吹き漏れる。
「お・・・お前っ!い・・いっつも・・お・・・大人しいと思うなよっ!!」
『C助』がいつもからかいの対象となる甲高い声で震えながら返す。
「『C助』ッ・・・ゴロッゴロズズ!」
「ウァアアァアッ!」
『F弘』の絶叫と『C助』の慟哭が部屋の隅で修羅の世界をつむぎ出していた。
いや修羅と化しているのは彼らだけではない。
教室の入り口で、ジュースの110円を返した、返していないから始まった『M秀』と『N長』の口げんかは、『N長』が『M秀』の馬乗りになる体勢で決着した。
「お前、『L好』よりしわ少ないんじゃね?」
N長は足払いで倒したM秀の上にまたがり、今、ハンマーでかち割った頭蓋から脳髄を掻き出すと廊下にぶちまけた。
赤黒い血の溜まりに白い脳髄が餅のように浮いている。
「イヤッフー!」
窓辺では『Y夫』の切り裂いた腸をロープ代わりにして『H良』が教室から2階下の地面に飛び降りている。
「アボッ、アボッ」
『H良』の体重で腸が引きだされる勢いに合わせて『Y夫』は感電しているようにひきつけを繰り返している。
『いつもとかわることのない』、満腹感に眠気を誘われる昼休みの光景だ。
少しして空気をひずませてチャイムの音がなった。
五時間目の始まりだ。
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