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入り口にぶちまけられた脳髄のおしる粉をよけて男性教師、『T男』が教室に入ってくる。
「『N長』、『M秀』、席につかんか・・・ん?」
『T男』は『Y夫』の臓物をたどって窓の下に転がる『H良』を見つけると声を投げた。
「おーい、『H良』いつまで遊んでいるんだ、もう昼休みおわってんだぞ」
「あー、スミマセン、すぐいくっス!」
とびおりたときに痛めたのか、右足をひきずりながらも『H良』は立ち上がると教室へと向かった。
「おば、えんびつがえぜって(おまええんぴつかえせって)」
喉がまだ完全にくっついていない『F弘』は席から振り返り、『C助』にさっき突き刺した鉛筆を返せと言った。
『C助』は顔から引き抜くと『F弘』に渡した、比較的治りの早い『C助』の目はもう完全に直っていた。
「よし、始めるぞ・・『O次郎』、問題を読め」
『T男』から指名された『O次郎』は立ち上がると教科書を読んだ。
立ち上がった時少し傾いて、後頭部にぽっかりと口をあけている頭の傷から脳漿が垂れてくる。
さっき『S彦』にバットで殴られた傷だった。
絡んできた『S彦』は逆にバットを取り上げ、ぼこぼこにして窓から放り投げてやった。
(アイツ、ちょっと言ったくらいで切れすぎなんだよ)
教室はさっきまでの喧噪を掃き流し、『回復』が間に合わず、席に着けない者をはぶいて皆、おとなしく授業を受けている。
立ち上がったO次郎は教科書を読みながら、世界がこの奇妙な事態に陥った日のことを思い出していた。
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