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自分たちが不死であることを確信するきっかけは人それぞれでだった。
あるものはタワーマンションの屋上から飛び降りてみて。
またあるものは車で10トンの大型トラックに擦り殺されてみて。
いずれも想像を絶する苦痛ののちに再生する自分に呆然とする事になった。
ともあれ、楽器の鳴らし方を覚えるように人々は不死である世界に慣れていった。
今では「しばくぞ」と威嚇する前に包丁が飛び、「殺すぞ」の後に鉄パイプがうなる。
なんだか気が晴れないときはマンションから飛び降りるといいし、誰かをひき殺してもいい。
今日も、食卓で、学校で、この町のどこそこで絶叫と咆吼、死と再生が繰り広げられている。
そして町は血生臭くなり日々の生活は赤みを増した。
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