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かつて世界が突然改変されたように、元に戻るのもまた突然だった。
昼食の後の教室、いつものように騒がしい喧騒と血糊につつまれてO次郎は伏して寝ていた。
軽い眠りだった予定が思ったより深く寝てしまっていたらしい。
「@#$&%*+!」
夢の中にまたあの奇妙な親父が現れ、何かわめいていた。
(なんだったんだ)
『O次郎』が目を覚ましたときに教室は奇妙な静寂につつまれていた。
みんなが窓際に集まり、下をのぞき込んでいる。
『O次郎』がのぞき込むと下で『H良』が糸の切れた人形のようにつぶれている。
「どうしたんだ」
「いや、体が当たって落ちたんだけど・・・復活しないんだ」
『Y夫』は困惑の表情を浮かべている。
「おい、死んじまったんじゃないか」
「ウソ、いまさらそんなことないだろう」
すぐに目をさます、演技をしているだけだ、などといいわけが花を咲かすが、『O次郎』にはわかっていた。
そう、不死の時間は終わったのだ。
罰は終わった。
人の世界がまた帰ってきたのだ。
そして皆も直感では気づいていたのか、不安げに煙るざわめきはいつしかきな臭く香り始めた。
「どうすんだよ、『H良』死んじゃったぞ」
「『M秀』お前が押したからだろうが」
「ちょっ・・『N長』ふざけんなよ」
そこここで繰り広げられる小競り合いはさざ波のように伝播してやがておおきな渦になった。
いつしか教室中が怒号に包まれていた。
「おい、『C助』お前ふざけんなよ」
押されて転んだ『F弘』は立ち上がると机に行き、鉛筆を握りしめ『C助』の前に向かった。
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