始まり

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屋上には誰もいなくて、冬が近づいて来たことを感じさせる、冷たい風が吹いていた。 「ごめんな、気づかなくて。」 「えっ!!!?い、いや、そんな...」 俺が話しかけると、ビクッとしたような反応を見せ、その後モゴモゴとしゃべる。こいつはホントに俺が好きなのか? 「で、なんか用だった?教室来てたけど。」 「えっ、え、あ、あの、」 どもり過ぎだ。背が高くて、顔も良くて、髪は短いから清潔感があって、それでいてあまり喋らないからクールな印象があるこいつは、どうして俺の前だとこうなるんだ。 「た、ただ、は、は、はな、話したくて...」 ドキッ。。。 顔を真っ赤に染めて、俯きながら俺を上目遣いで見つめるこいつに、不覚にもドキッとしてしまった。 「そぉ。なに話したかったの?」 俺は出来るだけ冷静に返事をした。するとそいつはパッと顔を上げ、オロオロと考え始めた。 なんなんだこいつは...。
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