第1章

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で、公園に着くまでに曲がり角が3ヶ所。 1、2ヶ所目は誰ともぶつからなかった。 唯一ぶつかりかけた3ヶ所目、はパーマをかけたおばちゃんだった。 とっさに避けたあのときの自分を誉めてやりたい。危うく関東マダムに俺のデステニーを捧げてしまうところだった。 そんなわけで、袋の中の食パンは順調に減り、俺が運命の人と出会うチャンスも残り1回となってしまった。 曲がりカドはあと1つ。食パンもあと1枚。 「泣いても笑ってもあと一回やなぁ」 (まあ、泣かんけど) 公園の道をまっすぐ行って二個目の曲がり角を右。 目的の道角まで約5メートル。 食パンを口にくわえる。 (最後やし…) 少し小走りで、それから「きゃ~ちこく、ちこく~」と棒読みで言ってみた。 ちょっとでも王道に近づけてみようかなぁなんて。 特に期待なんてせずに、おばちゃんが出てきたら今度もしっかり避けよう、なんて考えて。 スピードを少し出しすぎた。なんてことにも気が付かなかった。
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