64人が本棚に入れています
本棚に追加
で、公園に着くまでに曲がり角が3ヶ所。
1、2ヶ所目は誰ともぶつからなかった。
唯一ぶつかりかけた3ヶ所目、はパーマをかけたおばちゃんだった。
とっさに避けたあのときの自分を誉めてやりたい。危うく関東マダムに俺のデステニーを捧げてしまうところだった。
そんなわけで、袋の中の食パンは順調に減り、俺が運命の人と出会うチャンスも残り1回となってしまった。
曲がりカドはあと1つ。食パンもあと1枚。
「泣いても笑ってもあと一回やなぁ」
(まあ、泣かんけど)
公園の道をまっすぐ行って二個目の曲がり角を右。
目的の道角まで約5メートル。
食パンを口にくわえる。
(最後やし…)
少し小走りで、それから「きゃ~ちこく、ちこく~」と棒読みで言ってみた。
ちょっとでも王道に近づけてみようかなぁなんて。
特に期待なんてせずに、おばちゃんが出てきたら今度もしっかり避けよう、なんて考えて。
スピードを少し出しすぎた。なんてことにも気が付かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!