ヒント:小説タイトルの変更点

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「……何やってんのさ、オルカ」 喧しい独り言をマシンガンのように発する青年とその傍らでフライパンの熱に悶絶する男という混沌[カオス]な空間と化した廊下に呆れたような声が入って来た。オルカと名乗り、またそう呼ばれた青年に瓜二つな顔に、黒髪、銀色の瞳を持つ青年。 「おーぅまいぶらざーノエルwww丁度朝食のベーコンエッグが焼きあがったところだおwwww」 「何か別の物まで焼きあがってる気がするけど多分気のせいじゃないよね」 彼はノエル。オルカの双子の兄であり、オルカと共に『魔王』と呼ばれる存在である。彼はため息を吐きながらオルカにそう言葉を返し、未だ床の上で苦しむ男に目をやった。 「迷い込んだ観光客……だったら、嬉しいんだけど」 しっかりと着用した鎧、腰に下げられた大層な鞘に入る剣。そしてそもそもこの城はどの大陸にも繋がらない『魔界島』の森奥に佇む『魔王城』である。当然ただの観光客などであろうはずもなく、それを承知の上で彼はぼやいた。オルカがケラケラと笑う。 「万が一そうだったら魔王城の屋上から地上に向けて全裸でジャンピング土下座してやるおwww」 「万が一の方だとしても本当にやらないでよ?そんな誰も得しない行為」 本当に双子なのかと時々疑いたくなる程の弟との性格の違いに再びノエルはため息を吐いた。 「ま、それはさておき……後五秒ぐらいかぬ?w」 「三秒じゃない?3……2……1……」 カウント1で二人は耳を塞ぎ、後方へと飛び退る。と、しっかりカウントぴったりに男は勢いよくガバリと起き上がり、彼らに、いや正確にはオルカに向けてがなった。 「突然何てことしやがるてめえええ!!!」
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