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「ぐっもーにん頬肉のソテーwww」
「誰が頬肉のソテーだ!!!」
明らかなる怒り――いや出会いがしらに熱々のフライパンを顔面に叩きつけられるような所業をなされれば大抵の人は怒るであろうが――を示す男。しかしそんな男をあくまでからかうようにオルカはケラケラと笑った。
「くそ、卑劣な魔王の下僕め……!魔王諸共叩き斬ってくれる!」
「下僕とか何それ心外ww俺っちも魔王どすえ?w」
「どこの世界にメイド服着た魔王がいる!というか何故貴様はメイド服を着ている!?」
「うるへーこっちにだって事情があんだよww酢豚のパイナップル以上弁当の黒豆未満な感じの重大な事情がなwww」
「それ限りなく重要じゃねーよ!……ああもう面倒な!」
男は何とも律儀に突っ込んでいたが、やがて痺れを切らしたのか剣を鞘から抜くと、オルカを無視し後ろに立つノエルへその先端を向けた。
「魔王!貴様の命は」
俺がいただく、とでも続けようとしたのであろう勇ましい声。しかしその言葉が最後まで発せられることはなく、代わりに
「Σひああああああ!!?」
とてつもなく大きな悲鳴が廊下、いや魔王城全体に響き渡った。思わず男は耳を塞ぎ、目を瞑ってしまう。悲鳴の主はノエル。剣を向けられたその本人であるが、それにしても大き過ぎる悲鳴だ。
悲鳴がおさまり、男が目を開けて見るとそこには腰を抜かしたかのように床に倒れ、こちらを青ざめた顔で見るノエルの姿があった。目は恐怖に見開かれ、焦点も定まらないかのようにふるふると揺れている。先程まで騒がしかったオルカが、あーあ、と首を横に振った。
「はいはい、とりあえず物騒なモンはしまったしまったーw相手なら場所変えてからちゃんとしてやるからww」
「は……?いや何言ってんだ馬鹿かお前!俺は魔王を倒しに来た勇者!武器をしまえだなんて言われてそんな素直にしまうわけ」
「いいからしまえってんだよ」
突然、声色が変わる。勇者だと言った男がそれに怯んだ隙に、オルカは床に倒れた兄の傍らへと立った。
「ほら、大丈夫だからw立てるか?寧ろ勃たせてやろうか?ww」
「……何か今、字違くなかった?」
「気のせい気のせいwwwww」
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