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ミロクのことは、今年、高校を卒業する頃に知った。
私にとって学校生活はとてもつまらなかった。高校にもなれば、”毎日面白おかしく過ごせるかどうか”はまったく重要ではないのは分かっているつもりだけど、勉強はそこそこにバンドの真似事に夢中だった。思春期のモヤモヤしたものを爆発させるにはちょうどいい手段だったのだ。
公務員の両親に育てられた私は、特別音楽一家の生まれというわけでもなく、小さな頃からピアノを習っていたということもなく、高校入学して最初にできた友人ミサに影響を受けて軽い気持ちでバンドを始めた。ミサトとミサ、一文字違いの名前がきっかけで仲良くなったのだ。
音楽に関しては、まったくの独学で、難しい理論とか、知るわけがない。超基本的な楽譜の読み方とチューニング、タブ譜の見方を学んだくらいで、ただ楽しい、モヤモヤを発散する爽快感だけでバンドごっこにハマった。
そのうち、最初ギターで入った私がいつの間にかボーカルも担当するようになっていた。
それで私とミサを中心に、当時10代の子たちの絶大な人気を誇るロックバンドのコピーバンドを卒業するまで続けた。
そして、まるで私たちの高校卒業と時期を申し合わせたかのように、私たちのコピーしていたロックバンドも突如解散の発表をしたのだった。バンド解散と同時に、私たちのバンドごっこも終了となった。
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