#2 Daydream Believers

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それから、高校卒業も間近になると、ほとんど毎日が休日同様になったから、バイトが休みの日は早起きして、いそいそと出かけていた。 逆毛を立てて頭をボサボサにして、ミュージシャン気取りのメイクして。まだメイクに慣れないながらも、地毛が茶色いのもあったせいか、昔から外で年相応に見られることはなかった。 古着屋で見つけたチェックのワンピースを着て、お小遣いを貯めて買ったドクターマーチンのブーツを履いて。どう見ても一般的なモテる女子ではない。でも、それでいい。女として見られたくなかったから、ちょうど良いの。 家を出たら、行きつけのCDショップへ行く。 だいたい私自身、別段”ロック”が好きなわけではないと思う。かといって”音楽好き”とも呼べないと思う。好きな音を奏でてくれるミュージシャンならジャンルは関係なく好きになるし、フェスと聞いて手当たり次第に行くわけではないし、関心の湧かないプレイヤーの演奏を聴くのはこの上ない苦痛でしかないあたり、他のバンドマンたちと話したりする時に「あぁ、私はこの人たちほど音楽が好きではないのだな。」と感じざるを得ない。 とにかく気に入ったら気に入ったでそればかり平気で聴いてしまう癖があって、それこそ聞き飽きるまで聴いてしまう。今は、ロックと呼ばれる音楽がフィットしているだけ。私にとってロックだとかバンドだとかは、ただそれだけでしかない。 店内を歩いていると、あるCDに目が留まった。まだデビューして間もないようだ。 いわゆるロックバンド、いかにもな風貌のバンドは古臭いものにしか目に写らない時代に、古いイメージと新しい空気を絶妙な塩梅でミックスしたビジュアルが気に入った。アルバムを手に取って視聴コーナーで聴いてみることにした。 SUDOKU…スドク?バンド名はどうやらそう読むらしい。日系人と白人で組んだバンドのようで、日本デビューしたばかりのようだ。SUDOKU……スマホでググると、「切腹」と出て来た。「サムライ、ハラキリ、フジヤマ、ヤクザ…」みたいな外国人の偏った日本をイメージする言葉が頭に浮かんだ。
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