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親にすごまれるといつしか逆らえなくなった私は、よせばいいのにバカ正直にしゃべってしまった。
「……音楽を……やって……みたい」
一言ずつ発する毎に、夢がシュルシュルとしぼんでいくような心地がした。母は顔をしかめ無言で頭を抱えて俯き、父親は、はぁ、と大げさな溜息をついて見せた。
「お前なぁ……よぉく考えてみろ!音楽で飯を食っていける人間なんて、針の先もいないんだぞ!!よほどの才能があっても成功するか保障されない世界で!!
しかもお前……音楽といったら芸能人、芸能界は水商売と同じようなもんだろう!!俺は絶対認めんぞ!!!
……それでもやる、というんなら、二度とうちの敷居をまたぐな!絶縁だ!!!!」
青筋を立ててまくりたてる父を応援するように、どこかサディスティックな声で母も加勢する。
「まったく、就職するつもりが無いですって?!完全にあんたの育て方間違えたわ。短大で、しかもデザイン専攻なんてフワフワしたの、そもそもあたしは反対だったのよ。
こんなことなら無理やり公務員学校にでも放り込んどきゃ良かったわ。親を騙して!この、親不孝者!!!」
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