第1章 俺のおまわりさん

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「ねぇ、ねぇ、隣の市んとこの公園で傷害事件だってぇ、怖くない?」 「知らねぇ。つか、おっぱい、当たってる」 ファストフード店、前だったら煙たい喫煙席のある二階フロアに直行だったけど 今は禁煙 何ヶ月目だっけ? ってくらい煙草を断っているから、とても健全でポテトフライの匂いのみ漂う一階にいる。 「おっぱい当ててるのぉ! ねぇ、ねぇ、怖いからぁ、家まで送って?」 「いたいけな少年が知らない男に脚蹴られたって事件だろ? お前、そんだけでっかいおっぱいあれば大丈夫」 「ひっどぉーい! 拓はいつからそんなに客に素っ気無い子になったの?」 「もうホストじゃねぇし。つか、俺、待ち合わせしてるんだって」 早く来ねぇかな、あいつ。 また帰り間際に書類とか押し付けられてんじゃねぇだろうな。 毎回、毎回、上下関係がどうとか、先輩のほうが忙しいとか、んなの関係ねぇ。 てめぇの仕事だろうがって突っ返せよ。 「それに、いつからホモになったのよぉ」 「うるせぇな。早く帰れって。つか、胸押し付けるな。もうデカパイに興味ねぇんだよ」 「触っても、揉んでもいいのにぃ?」 いらねぇ、そう宣言しようとした時、前方で急にメラメラと火の手でも上がったような熱が。 「なっ! なななん、なん、何してるんですかっ!」 そこには顔を真っ赤にして、ぎゅっと握った拳をフルフル震わせる、お目目がまん丸な――。 「おせぇよ、マコちゃん」 「あぁん、おまわりさんが来ちゃった」 「だから、おっぱい押し付けるなよ」 「ハレンチですよっ!」 おっぱい押し付けてるだけで? つか、まん丸ででっかい黒い瞳ウルウルにさせて、頬をピンク色にしながら怒ってる、マコのほうがよっぽどハレンチじゃね? 瞬間で、腰、直撃するんだけど?
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