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「最低です! 最悪、痴漢、変態、ハレンチ」
「だから、あれは店入ろうとしたところで見つかったんだよ。前の仕事ん時の客」
おっぱい女、元客で、まぁ、その当時はけっこう金を落としてくれたからありがたかったけど。
「ホ、ホスト、の時のお客さん、なんですか?」
うわ、何、その少し不安気な上目遣い。
無自覚なんだろうけど、殺人的に可愛いぞ。
「安心して。俺、枕営業しないホストだったから」
「枕?」
「客って寝たりすんの」
新卒、ド新人おまわりさん、二十三だっけ?
その二十三年間をどうやって過ごしてきたら、こういうことに疎くなれるんだ?
「本当に、ただそこで偶然会って、グイグイ向こうが来ただけ。俺が好きなのは、マコちゃんだけだよ」
「!」
突付きたい、そんな衝動が最初だった。
出会ったのはクリスマスイブ。
ホスト辞めて印刷会社に就職した俺は、写真を店に配達している真っ最中だった。
年末、しかもクリスマスにもなれば道はアホみたいに混んでいて、配達がその日一日遅れていた。
間に合いそうもないんで、仕方なく横の抜け道に入った時
一時停止を取り締まっている最中だったマコに出会った。
どこか天然っていうか
突付きたくなるような
小動物のようなおまわりさん。
大昔、ホストになるよりも大昔のガキの頃、何よりも大嫌いで、何よりもバカにしていた警察、そのイメージを一瞬で蹴散らした可愛い可愛いおまわりさん。
見せなさいと言われた免許をからかって高く掲げれば
一生懸命にひょこひょこ飛んで、それを掴もうとするとか
ツボすぎてダメだった。
しかも飛んだ拍子に倒れ込んできて俺は無事なのに、どこをどうしたらそんな器用なことができるのか
マコだけが足をくじいた。
もうダメだろ。即落ちた。
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