第1章 俺のおまわりさん

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ゲイじゃねぇけど、マコにその瞬間落ちた。 親切な顔して手を差し伸べれば、なんて優しい人なんだとマジで感動しつつ目を潤ませる。 その次の瞬間に、捕まえてニヤリと笑ってやると、騙したなとか叫んで顔真っ赤になりながら暴れるとか。からかってくださいと言わんばかりだろ。 イヴに男女入り乱れて騒ぐつもりだったけど、もう、そんなんどうでもいい。 そっち放り出して、いたいけなおまわりさんを上手く言いくるめイヴデートした。 「すっ! すすす、好きって、あの、僕、男ですってわかってます?」 顔 真っ赤。 わかってるよ。 つか、わかってないってフリして抱き付いて、男かどうか調べさせてとか言って、弱そうなとこ攻め立てたらどんな声上げんだろ。 「わ、わかってないんでしょ! 僕、ちゃんと男ですよ! 昨日だって、ほらっ! 柔道の稽古したんだから! エイって!」 無言でじっと見つめる俺の脳内で自分が今、ひん剥かれて甘い声上げさせられているとも知らず 俺のダウンをむんずと掴んで、投げるふりをしつつ、悲鳴に近い掛け声を上げている。 いや、だから、本当に可愛いすぎる。 マジで食べたい。 元ホスト、元ヤンチャなくそガキの性欲舐めんなよ。 即、食べるぞ。 「マコちゃん……」 「ふぎゃー!」 自ら肉食獣の懐に飛び込んできた小動物をむぎゅっと抱き締めると、ダウンの中からくぐもった可愛い断末魔が聞こえた。 抱き心地が信じらんねぇくらいに最高だ。 男のくせに べつに女みたいなわけでもないくせに 本当にこうしてると気持ちイイ。 「柔道とかやれんのか? こんなんで? つか、耳潰れてねぇじゃん」 「やぁぁン」 抱き締めながら、舐めて欲しいのかと勘違いしたくなるような赤い耳へ、フッと息を吹きかけた。 たったそれだけで、そんな声上げるとかさ。どんだけ感度良いんだよ。襲いたくなるだろうが。
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