第1章

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そして、一瞬の静寂もすぐに破られる。 「ねぇ、クリスマスケーキってさ女の年齢に例えられるって知ってた?」 「何それ」 「だから、23、24が最も旬で25を過ぎたら売れ残りってやつ」 「はぁ、何それ」 「やだー、私25なんだけど、もう売れ残りなの?」 「大丈夫ですって、先輩まで20代前半でいけますって」 「え、もしかしてそれ過ぎたらバーゲンセールってやつ?」 「でも大安売りでも買い手つかなかったら惨めー」 あぁ、確かにクリスマスの24日までは売り手市場でも、25からは売れ残りと化してしまう。たった24から25の一年の差で、そんなクリスマスケーキと同じ運命をたどるというのか。 若い女の子達が嘆く中、1人の女の子が声を小さくして口元で人差し指をたてた。 あぁ、もしかして気を遣われているのだろうか。 しーっと、皆を黙らせた女は25才。 やばいやばいとクリスマスケーキの話題を持ち込んだのは23才。 そして1人余裕綽綽で、他人事みたいに笑っているのは先月20になったばかりの女の子。 そして気を遣われる私。 そう気を遣われるだけあって、年齢のクリスマス時期なんぞとうの昔に過ぎている。それどころか、正月も越して三が日に入ろうとしているところだ。 彼女からしたら、ワゴンの中で再々再値下げでも買ってもらえなかった、売れ残りどころか在庫処分のように思われているのだろうか。 そして、一生独身のレッテルでも張られているのだろう。
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