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第1章
「あ、あの子可愛い」
「あの人、めっちゃ美人なんだけど」
普段何気なく会話に出てくるフレーズ。
何の努力もせずに元々生まれ備わった要素で、容易に周囲の人間の気を引くことができる。
可愛い女の子、綺麗な女性はそれだけで価値があり無条件に男の人から愛されるのだ。
そう、私はその要素をこれっぽちも与えられなかった人間。
幼い頃から幸の薄い顔だと言われ、人と顔を合わせないようにしていたら、姿勢も自然に猫背になって性格もどんどん根暗になっていった。
そんな人格は早期に形成され、小学校高学年では完璧に地味子ちゃんとして名が通るようになった。
そう、そんな私だ、男の人となんてまともに付き合ったことはない。
一度慣れない恋心に、馬鹿みたいに舞い上がった過去もあるけど、今じゃ記憶から完全に抹消したい黒歴史として化している。
私には恋なんて夢のまた夢。
好きな人から愛されるなんて、神様から選ばれた可愛い女の子にしか与えられない特権なのだ。
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