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ガチャリガチャリと、一定ではあるが、あまりにも重々しい音。これから王への謁見のため、正装でなければならない。"騎士の正装"というものは、アーロンにとって苦手なものの一つであった。
隣を歩くレティは慣れているのか、何も言わない。普段のアーロンの装備は鎧ではなく、魔導隊が着る防御魔法のかかったコートと制服。力よりスピードを重視した戦い方が彼の特徴だ。
だが正式な式典では度々"正装"をする。それでも歪に感じてしまうのは、サイズが明らかにあっていないからだ。
アーロンの体はレティや他の騎士に比べると小柄だ。レティが体格もたくましい精悍な風貌であれば、アーロンはしなやかな細剣を彷彿させる細身だ。
鎧のサイズは一通り揃えてあるものの、アーロンは希望しなかったため、個人用の鎧がない。その分、他の騎士よりも鎧に余裕ができてしまう。
以前レティがそのことについて尋ねると、
「必要ないものに金や時間をかけることは無駄だ」
と、答えが返ってきた。
「採寸が邪魔くさいだけだろうが……」
そう思ったのは余談だ。
「……なあ」
終始無言だったレティが口を開く。
「新人の……名前はなんだったかな、休憩室で難しい顔をしていたんだが、お前変なことを言わなかったか?」
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