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「姫様との仲をきかれた」
「何それ、俺も気になる……いや、プライベートなことだしな。あーでも気になる。なんて答えたんだ?」
「ピーナッツを分けた仲だ、と」
「あー…なるほどな」
妙に納得したレティが頷いた瞬間、すぐそばの部屋で怒鳴り声と何かが割れる音が響いた。二人は足を止めた。そこは丁度二人の目的地である、王室の扉だった。緊迫した空気が流れる。
「また失敗したというのか! これで何度目だ。娘一人にどれだけの時間をかけている。もう刻限まであとわずかなのだぞ! 間に合わなければどう責任をとるというのだ」
声の主は王だった。取り込み中らしい。
レティはまた女中が何かやらかしたのかと、一気にやる気をなくした。最近の王は何かに追われているように切羽詰まっているように感じる。理由は分からないが、鬱憤を晴らしたいのだろう。
「レティ」
「ああ」
レティはアーロンがまた出直そうと言ったのだと解釈し、戻ろうとするが、
「失礼します。歩兵隊・第一部隊アーロンとレティ、参りました」
「はあ!? おい、アーロン!」
レティが止める間もなく、ノックを響かせた。
中の音が消える。にも関わらず、原因となった当の本人はしれっとしている。
「何やってんだよ!」
「約束の時間になったのだから構わないだろう?」
「いいわけないだろ! 空気読めよ!」
このままだと、自分達にとばっちりが行くのが目に見えている。降格なんてさせられたらたまったものではない。
レティの後悔を知ることなく、残酷にもその時は来てしまう。
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