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「……入れ」
重たい金属音を響かせながら、扉が開く。いつも通りのアーロンとそのあとを項垂れたレティが続く。
先客がいることは、予想するまでもない。男性の二人組で、アーロンたちと同じ鎧を着ていることから彼らも騎士団の一員なのだろう。ただ、班が違うのかどちらとも見ない顔だった。
ちらちらと落ち着かない様子のレティとは違い、アーロンは堂々と二人のそばを通り抜けると、玉座の王の前に膝まずいた。
「お目にかかれて光栄です、王」
「うむ、よくきたな」
レティも慌ててアーロンに続く。
「わ、私も光栄です……」
王は玉座の上で頷き、顔をあげるように促す。次に先客二人を睨んだ。鷹のような鋭い視線に、彼らは肩を震わせ、逃げるように部屋を出ていった。
「すまんな、少し立て込んでいてな。主はせっかく時間通りにきてくれたというのに」
力無く笑う王にレティは違和感を感じていた。しかしその理由が見つからず、ただ内心で首を傾げるのみだった。
「さて、主らを呼んだ理由は頼みがあってな」
複数系で呼んでおきながら王はアーロンだけを見て言った。
「騎士団の団長にアーロン、そなたを任命する」
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