Dissonance

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 暗闇の海の波間を漂い、ようやく見つけた光を求めて泳いでいく。光に触れた瞬間、彼は覚醒した。  ──十字架の上で。 (ここはどこだ?)  まず自分を見上げる民衆が目に入った。戸惑い、失望、怒り。様々な感情がライザックにぶつけられる。  全身に痛みが走った。手当てはしてあるものの、応急措置のようなものだ。包帯が赤く滲んでいる。しかしそれ以上に心が痛かった。  高く上げられた彼には、全てが見えた。ここは魔導国。彼の祖国であり、彼が仕える国。嘲笑を押さえきれない先輩や同僚、無表情を貫き通す国の要人。  生きている喜びを疑問が上回る。何故自分がここにいるのか。何故このような目で見られているのか。何故──処刑されようとしているのか。  ライザックの前に彼が心身を捧げた王が立つ。 「皆の者、よくぞ裏切り者の処刑に集まってくれた」 (裏切り者だって!? 俺が?)  汗で濡れた黒髪がぴったりとひっついて気持ちが悪い。しかしそれどころではない。 「お待ちください、王よ! 私が裏切りとはどういうことですか!」  戸惑うライザックを無視し、王は続ける。 「この者の罪を言い渡そう。処刑者、ライザックは敵国、機械国との戦争中、彼の国に情報を流した。我々の動向を伝え、その報酬に多額の賄賂を貰っていた疑いがある」
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