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全く身に覚えのない話だった。反論する間を与えず、王は続ける。
「諸君らに伝えた通り、開戦当初は我が魔導国が優勢であった。しかし突然の奇襲により、一気に陣形を崩すこととなった。此度の敗戦の原因は騎士団長ライザックにあり! よって火炙りの刑に処する!」
開いた口が塞がらない気分だった。
機械を主戦力とする機械国に対し、魔導国の主戦力は人間である。多少入り組んだ地形であろうとも動くことができる。それを活かし、騎士団を前衛に、魔導士隊を配備させ、見つかりにくい森から奇襲をかけるというのが、当初の計画であった。しかし、逆に奇襲をかけられ、一気に戦況がひっくり返ってしまったのだ。
この作戦の発案者は王だ。長年、機械国と戦ってきた末、その手段で多くの勝利を治めてきたそうだ。これだけ長い間戦っていれば、お互いの手の内はだいたい読めてくる。ライザックは反対したが、聞き入れてもらえなかった。
そのようなことでへそを曲げるほどライザックの忠誠心は柔ではない。命令通り、それこそ命をかけて戦った。
「お言葉ですが、私は王、あなたに忠誠を誓った身。裏切りなどあり得ませぬ。もう一度お考え直してくださいませ!」
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