Dissonance

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「ーーーーーー!!」  声にならない叫び声。刹那、赤い炎が漆黒に染められる。  人々のざわめきに共鳴するかのようにゆらゆらと揺れる陽炎。その中から人影が序々に輪郭を現した。 「ライザック……?」  騒ぎをききつけたリリアンナは建物の中から瞬きをせずに状況を見つめていた。  鋭い爪に黒い肌、蝙蝠のような翼を羽ばたかせ、ライザックは人々の前に降り立った。もはや人の形を留めておらず、それはまさに悪魔といった出で立ちだった。  阿鼻叫喚。まさにそれだった。人々は我先にといった様子で逃げ出した。押し退け押され、悲鳴や泣き声が飛び交う。それでも立ち止まらず、自分を守ろうと走った。  ライザックは血のような真っ赤な瞳を瞬かせ、静かに掌を向けた。  一閃。  光の線が建物に穴を開けた。 「ひ、ひぃ……」  すっかり腰を抜かしてしまった王を守る者は誰もいない。兵士たちはすでに逃げ出していた。  ライザックの標的は王へと移る。ライザックはにやりと顔を歪め、空に飛び立った。燻っている十字架の上にふわりと降り立つと、高々と腕を掲げた。  凄まじい魔力がその手に集まる。禍々しい赤紫色が恐怖を煽る。どんどん膨張していき、止まる頃にはすでにそれは街を覆い隠すくらいになっていた。
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