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だって、マスターが独身だって事は判明したけど、あの人の心には今も奥さんがいるのだから。
そうなってくると、楓が羨ましいよ。
私と勇人は付き合っていて、楓と屯田林くんは付き合ってもいないのに。
「若葉ちゃん……」
勇人にちゃんと話せば、これから私にちゃんと愛情を注いでくれるかな。
そんな確証は、どこにも無い。
私としては、このままで終わっちゃう気がしてならない。頭のどこかで、それを望んでる私がいる。
「ねぇ、若葉ちゃん。もしかして、勇人と何かあったのか?」
「えっ、あっ、うん、ちょっと……」
「やっぱりか。あいつの様子が変だったから、少しだけ気になってたんだ。まぁ、ぶっちゃけ自分の事で、いっぱいイッパイだったんだけど」
「そうなの?」
「勇人の奴。うん、何だかやたらとイライラしててさ。大学に入った直後のあいつと、同じような様子だったんだよね」
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