第1章

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   だって、マスターが独身だって事は判明したけど、あの人の心には今も奥さんがいるのだから。  そうなってくると、楓が羨ましいよ。  私と勇人は付き合っていて、楓と屯田林くんは付き合ってもいないのに。 「若葉ちゃん……」  勇人にちゃんと話せば、これから私にちゃんと愛情を注いでくれるかな。  そんな確証は、どこにも無い。  私としては、このままで終わっちゃう気がしてならない。頭のどこかで、それを望んでる私がいる。 「ねぇ、若葉ちゃん。もしかして、勇人と何かあったのか?」 「えっ、あっ、うん、ちょっと……」 「やっぱりか。あいつの様子が変だったから、少しだけ気になってたんだ。まぁ、ぶっちゃけ自分の事で、いっぱいイッパイだったんだけど」 「そうなの?」 「勇人の奴。うん、何だかやたらとイライラしててさ。大学に入った直後のあいつと、同じような様子だったんだよね」
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