第1章

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   でも、勇人は私を束縛した。  私は、別の人を思いながら勇人と付き合った。  そんなんで、上手く行く筈が無い。 「ねぇ、勇人。やっぱり私たち、終わりにした方がいいんだよ」 「何でだよ」 「だって、このまま続けてたって良い方には進まないもん」 「そんな事は無い。絶対に、そんな事は無いんだ」 「ちょっと、声が大きいって」 「だって、若葉ぁ……」  勇人は、精神的に追い詰められると幼児返りしてしまう。それは分かってたけど、思わず追い詰めちゃってた。  周りの目が私たちに集中し、店員さんからも注意されてしまう。  それでも勇人は、大声を張り上げる。 「嫌だ、嫌だ、絶対に別れない」  そこまでになって、勇人と顔見知りの店員さんが飛んできて、彼を抱えてお店の奥へと連れて行った。普段、暴れるお客さんとは違う対応っぽい。  だって勇人は、ある意味で身内な訳だし。
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