第1章

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   それから数分して、勇人を連れ去った店員さんがやってくる。  この人が、店長だった。 「あいつの事は、こちらで何とかしますので。今日のところは」 「あ、はい。じゃあ、お会計を」 「それも、あいつと私たちで」 「でも……」 「当店でも、あいつの様子がおかしいのは伝わっていました。こうなる前に、止められなかった責任もありますし」 「そんなことを言われると、余計に気にしちゃいますけど」 「気にしないで下さい。お客さまも、あいつのせいで恥ずかしい思いもしたのですから」 「は、はぁ……」  結局、店長に押し切られる形で私はお店を出た。何だか、すっきりしない気持ち悪さが残る。  駅前まで歩きながら少し考える。  勇人は、あの居酒屋の他のお店でバイトしている。あのお店の店長とは、顔見知りだった筈。  それにしては、勇人が騒いだ時の対応が遅かったような気がする。
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