第1章

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   だから楓以外で、相談できそうな友達に片っ端から電話をかけた。  でも、誰も捕まらない。  夜の十一時、そんな時間だと電話が繋がっても、出かけてくれる友達はいなかった。電話で相談するには、ちょっと携帯電話の充電が心許ないし。  思わず屯田林くんにまで電話したけど、彼も電話に出なかった。 「はぁ、どうしようかな……」  落ち込んだ気持ちを誰にもぶつけられず、モヤモヤとした気持ちのままで勝手に足が動き出す。  こうなったら、コンビニでお酒を買って部屋に帰り、それを飲んで寝ちゃう事にした。  でもこういう時って、悪い事が重なったりする。  いつも飲んでてお気に入りの缶入りカクテルが、冷蔵庫の中から消えて無くなっていた。売り切れじゃ無く、売り場が無くなっていた。  新発売のメロン味の缶入りチューハイ。  今人気のお笑い芸人さんが、キャンペーン担当になってCMしている商品。
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