第1章

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久しぶりに帰ってきた一人暮らしのマンションには妙に乾いた空気が漂う レポートがやっと終わり、泊まり込みで3徹した私はもうフラフラで、布団に入って寝るという思考しかできなかった。 それにしても部屋がものすごく汚い。 書類が散らばり本が積み重なり足の踏み場もない。 まさにゴミ屋敷だ。 片付けなくてはならないが、めんどくさい。 もう、全部全部 明日に後回しだ。 とにかく寝る、寝ることだけ考える。 …それにしても、私鍵開けたっけ。 なんか元々空いていたような気がするんだけど。 もし、そうなら最悪だ。 というか、暗い部屋の奥から音が聞こえる。 なにこれ、すすり泣き? ちょっと…やめてくれ なんだこのホラーな展開。 本当に疲れてるんだよ、幽霊にも泥棒にも構ってる暇なんてない…休ませてくれ。 そう思いながら部屋の電気をつける。 すると、書類の山の中に長い髪の女が座っている。 『うわっ!』 「ひっく、うっ、ぐすっ」 その女は泣いている なんか見覚えがあるような… 『え、清香…何してんの?』 「何してんのじゃないわよ! どこに行ってたの!私が来てるのに!バーカ バーカ!」 うっわ、酒臭い…かなり酔ってる。 幽霊や泥棒よりも面倒なのがいるわ。 ほんっとに、私は疲れてんの! …しかし、清香がかなり酔ってるってことは男絡みで何かあったんだろうか。 嗚呼、めんどくせぇ。 『どうした?清香…大丈夫か?』 安眠することをなかば諦めながら、一応優しい言葉をかける。 「こ・れ・が!春には大丈夫に見えるの!大丈夫じゃないわ!全然!全然ね! あのクソ男!私は完璧じゃない!なのになんでなんでなんで!」 そして、また泣き始めた。 イライラしつつも聞いてやる。 『えーと…また、捨てられたの?』 「また!?またってなに?いつも捨てられてるみたいじゃない!違うから!前のは全部私が捨てたの!なのに今回はあのクソ男…わたしをヤり捨てして!」 『ヤり捨て…』 「もう、いや!こんなの!もうぜーんぶ嫌いだから!」 はぁ、とため息をつく。 とりあえずこのうるさいのを黙らせよう。 暴れ、ぐずっている清香を押さえつけ、無理やりベッドへ運ぶ。 布団をかぶせていると、疲れていたのだろうか、寝ていた。 わたしはソファで寝るしかない。 そう思いながらのろのろとソファへ向かう。 かなり疲労が溜まっていたのだろうか。 すぐに眠りに落ちた。
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