第1章

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リューマがクリエイティブディレクターさん、音響さん、構成スタッフさん達との最後のツメの打ち合わせをしている間、 私はリューマとナオトさん、ヒロキさんのヘアスタイルのデザイン画をデッサンをしていた。 リューマはフォーマルルックだけど、その雰囲気はセットの仕方でいくらでも作れる。 けどアウトラインを今より重めにカットすれば、もっと落ち着いた感じが出せるかなぁ。 ナオトとヒロキさんは、カジュアルルックだから軽めに、動きを出しやすいヘアスタイルで……… 遊び心で究極アシメスタイルも、チェックの継ぎ接ぎジャケットが衣装のヒロキさんには合うかもしれない。 そんな風に色々イメージしていたら……… 斜め後ろから声が降ってきた。 「ミユキさんとリューマの絡み見てるとこっちまで幸せな気分になるね。 ………けど、仲が良いのを見せつけられて、里奈があの後めっちゃ、テンション下がっててさ。」 いつの間にいたのか 私のデッサンを上から覗き込みながら ナオトさんが溜め息をついた。 また、そんな事を言われても……… 「あ、そんな困った顔しないで。 オレ、余計な事をミユキさんに言ってる?」 ええ。 分かってるなら言わないで欲しい。 里奈さんの気持ちなんて知りたくないし。 「オレ、いつも里奈と一緒にいても、里奈のそうゆう態度が煮えきれなくて、悔しいんだ。 どうしたら、もっとオレに気持ちを向けさせられるんだろう」 ナオトさんが、真剣な面持ちでそう呟きながら私の隣の椅子に腰かけた。 「どうやったらヤキモチ妬かれるくらいに、里奈の心に入り込めるんだろう」 そしてテーブルに突っ伏せしまった。 その様子をずっと黙って見ていると ナオトさんは突っ伏せていた腕から顔を覗かせて私の方に視線を向けた。 その瞳が潤んでいるのに気づいて、 ナオトさんは本当に心底里奈さんが好きなんだなって思えた。 「ナオトさんは十分魅力的な男性だから、里奈さんだって惹かれてると思いますよ。 ナオトさんの思い過ごしもあると思うし」 「ふふ。慰めありがとう。 でもこうして聞いてくれる人がいるっていいね。 こうやって胸の内を話してしまうオレも女々しい男だけど」 と、また自嘲する笑みを浮かべた。
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