プロローグ

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俺はヘタレだ。 きっと世間から俺を見たらそういうに違いない。 なぜなら、親元を離れずにぬくぬくとコタツに入り、母が作った料理をいつも通りに食べている。 30歳になった越川雄真(イチカワユウマ)は、 親の会社に継いでいる。 自分の夢を追うのを辞めたというか…諦めたというか… 兎に角、自分の夢なんか捨てた。 確かにつまらなくて平凡な日々を暮らしているわけなのだが後悔はしていない。 こうやって、親が希望していた会社を継いで無事経営出来てるし、何より親孝行ができて満足した日々だと誰もが思っているはずだ。 「あら、雄ちゃん。ぼーっとしちゃってどうしたのかしら?」 うふふと笑う母を見て、やっぱ傍に居たほうが安心だと確信した。 "親父…。俺が母さんをしっかり守るよ。" と仏壇に向かって心の中で男同士の誓いをたてながら、母と世間話をしているところだった。 Prrrrrr....... 俺の携帯から一本の電話が鳴った。
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