あたしの知らない彼

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  物思いに耽りたくて、 間抜けなことに、 lucieidまで歩いてきてしまった。 急かされなかったからって。 もうすっかり慣れた、 lucieidのロビー。 受付のお姉さんも、 首から提げた関係者証のおかげで あたしが常時出入りする 人間だってことを覚えてくれたらしく、 「お疲れ様です」と会釈してくれた。 “Raison d'etre”は今日から しばらくスタジオで トラックダウン作業に 勤しんでいるはずだ。 TAKUMIが今日 ここには来ないことを、 少しホッとしてしまう。 .
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