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「で?で?」
真咲が教室から出て行くのを見送ると、朱莉が更に一層体を前に乗り出してきた。
朱莉は他の女子と違い、びっくりするほど真咲に興味を示さない。
まぁ…大学生の彼氏がいるって言ってたしな。
羨ましいなぁ、と思いながら朱莉を見つめる。
「あのね、実は…
中学んときずっと好きだった人に会ってきたの。」
「えーなにそれ、なにそれ」
「うん、あのね」
私のいた中学は
男子も女子も仲がとても良く
卒業したあとも
なにかと集まる機会があった。
ただ、私がずっと好きだった井上拓(タク)くんは
タイミングが合わないとかで
卒業して以来会えずにいた。
だから、
週末の集まりで拓ちゃんを見かけた時は
まるで当時に戻ったようにドキドキして…
不完全燃焼で終わった恋は
心に残りやすいって言うけど、
本当だった。
会ってない間は、忘れられた気でいたのだけれど
いざ再会すると
やっぱり好きかもしれない、と
気持ちが一瞬にして目覚めてしまうんだから。
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