第1章

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「で?で?」 真咲が教室から出て行くのを見送ると、朱莉が更に一層体を前に乗り出してきた。 朱莉は他の女子と違い、びっくりするほど真咲に興味を示さない。 まぁ…大学生の彼氏がいるって言ってたしな。 羨ましいなぁ、と思いながら朱莉を見つめる。 「あのね、実は… 中学んときずっと好きだった人に会ってきたの。」 「えーなにそれ、なにそれ」 「うん、あのね」 私のいた中学は 男子も女子も仲がとても良く 卒業したあとも なにかと集まる機会があった。 ただ、私がずっと好きだった井上拓(タク)くんは タイミングが合わないとかで 卒業して以来会えずにいた。 だから、 週末の集まりで拓ちゃんを見かけた時は まるで当時に戻ったようにドキドキして… 不完全燃焼で終わった恋は 心に残りやすいって言うけど、 本当だった。 会ってない間は、忘れられた気でいたのだけれど いざ再会すると やっぱり好きかもしれない、と 気持ちが一瞬にして目覚めてしまうんだから。
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