第1章

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「それで、やっと連絡先ゲットできてさ……」 「わぁ、やったじゃん!でも、どうして中学んとき告白しなかったの?」 両手を頬に這わせながら、キョトンとした表情で朱莉がそう尋ねる。 「ずっと好きだったんでしょ? 卒業式とか告白チャンスだよね?」 そう。 朱莉の言う通り、 好きになってから、いつかは自分の気持ちを伝えるつもりでいた。 だけど…… 「カレね、彼女いたの」 サッカー部で、運動も得意 運動会でリレーの選手になれば必ず一位を取るくらい足も早い。 頭も良く、成績も学年で上から数える方が早い。 みんなの憧れの存在だったし、拓ちゃんに恋をしてる女の子は私だけじゃなかった。 だけど、 拓ちゃんは塾で知り合った別の中学の女の子と付き合っていた。 「一方的に好きって伝えてもよかったんだけど、……」 なんだか、それは違うような気がしたんだ。 当時のことを思い出しながら、一点をボーと見つめている私を じーっと伺いながら、朱莉が呟いた。 「陽菜って優しいね」 ふわっと耳に入ってきた朱莉の優しい声とともに、子どもをあやすように微笑みながら私の頭をそっと撫でてきた。 「…え?」 優しい? 告白出来なかったことが、どうして“優しい”になるんだろう? 朱莉の真意が分からず目をパチクリさせる私を見ながら 朱莉がクスクス笑っている。 「でも、連絡先ゲットってことは、そのカレって…」 「うん、別れてたの。彼女とは…」 「よかったじゃん!これで遮るものなく、アタック出来るね」 別れた彼女のこと思うと喜んでいいものか分かんないけど、 それでも、やっと自分の恋が報われるかもしれないと思うだけで 幸せな気持ちで胸がいっぱいになるんだ。 「うんっ! 好きになってもらえるように頑張らなくちゃ」
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