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太一が店をあとにしてからしばらくは彼女のオンステージだった。
その後
一礼をし彼女がステージが下がる。
時計を見ると、12時少し前だった。
きっと彼女は今日は上がりだろうと思った俺は席を立ち店を後にした。
あまり飲んでないのに、結構いい値を取られビックリしたが
それよりもこの後どうやって彼女に接触するか
そちらのほうが問題だった。
「お疲れ様でした」
暫くして店の裏口から姿を現した彼女
考える間も無く、俺は彼女に歩み寄った。
もう終電も終わっていることもあり、駅近くといえど人通りはまばら。
月明かりと、少しの街頭だけが夜の道を照らしている。
「あ、あの…!」
俺の声に驚いたのか、彼女の肩がピクッと揺れた後
彼女がゆっくり振り返った。
彼女は俺のこと覚えているだろうか…
いきなり知らない男に話しかけられて身構えたりしないだろうか…
話しかけた後に、そんなことが頭をグルグル駆け巡る。
「桜沢…芽衣子さん……だよね」
眉間に皺を寄せながら2秒ほど彼女が俺の顔をじっと見た。
だけど、
初めて会った時と同じように、彼女は俺に応えることもなく踵を返し歩き始める。
「あ、待って」
急いで彼女の隣に並ぶ。
すると、今度は彼女が足を止め俺の方に体を向かわせた。
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