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私より
大きくて暖かくて、少し乾燥した大好きだった男の手が
私の手首をきつく握り
ベットへと組み敷いていた。
「なんでこんなことっ…!」
「なんで?」
男は、自傷気味に微笑みながら私を見下ろす。
「お前が…嫌いだからだよ、芽衣子」
男の口から
きらいだ
という言葉が出てくるなんて夢にも思っていなかった私は
男の言葉に
ひどく落胆し、虚しさという名の涙が溢れ出した。
「どうして……」
「お前が悪い。
俺から全てを奪ったのは、
お前だろう?
だから、
今度は俺がお前の全てを壊してやる」
男はそう言うと
私の手首を握る自分の手に力を込めたあと
噛み付くようなキスを私に落とした。
初めてのキスは好きな人と。
初体験は、素敵な思い出になるようなところで。
女の子なら誰しもがそういうふうに思い描くだろう。
この出来事によって
私のその夢は
完全に打ち砕かれた。
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