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「…はあああぁぁぁ」
「龍也、ため息深すぎ」
呆れながら笑う太一を横目に
俺はまたもや肩を落とす。
「昨日またヤッたの?」
悪びれもなく聞いてくる太一に、
俺は無言で大きく頷いた。
「…そしてまたフラれた」
彼女のぬくもりが残ったベットで
再び眠りにつくことがどんだけ苦痛か
きっとこいつには分からない。
「お前も懲りないね。
芽衣子ちゃんだっけ?
音楽科の。
めちゃくちゃ男に人気あるって。
すげぇらしいじゃん?」
そんなことは百も承知。
そんな彼女に一番に惚れ込んだのは自分だと
強く思っていたわけで
太一のその言葉に今更驚いたりはしない。
まっすぐ澄んだ青空が眩しすぎて見上げられないくらい
俺の心の中は土砂降りだった。
「お前も、そんなに落ち込むならヤらなきゃいーのに」
それも
百も承知だ。
断ることが出来たなら
初めからこんな関係に踏み出したりはしなかった。
「…うるせぇよ」
俺は
彼女と
芽衣子とセフレになりたいわけじゃない。
芽衣子の支えになれるような
芽衣子に頼ってもらえるような
恋人になりたいんだ。
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